呼吸器外科ってどんなお仕事?呼吸器外科のすすめ

2020年8月1日

こんにちは。Dr.メタルです。
今回は自分の専門でもある呼吸器外科について書きます。

呼吸器外科ってどんなお仕事?

みなさん、「呼吸器外科」と言われてどんなイメージをお持ちでしょうか。
医学部の高学年の方はなんとなく分かりますかね。

呼吸器外科はをメインで扱う外科になります。
外科というのは一言でいうと手術する医者になりますから、呼吸器外科とは肺をメインに手術する医者になります。

正確にいうと肺の周りの縦隔(左右の肺に挟まれた空間にある組織の総称。詳細は調べてみてください)であったり胸膜であったり、なんだかんだ肺だけではないのですが、1番多いのはやはり肺の手術です。
病気としては肺癌気胸が多いです。

肺癌は死亡数が最も多い癌です(2018年、国立がん研究センターがん情報サービスより)。
そのため、当然手術数も多いですが、実際、呼吸器外科医はどの病院も人手が足りないのが現状です。

それはなぜでしょうか。

呼吸器外科は人数不足?

昨今では、多くの医療ドラマがテレビで放送されています。
心臓血管外科医や消化器外科、救急救命医などの診療科がカッコ良い主役になることが多い印象です。
有名なのはチームバチスタや白い巨塔(放送年によって異なりますが食道癌や膵癌、消化器外科ですね)、コードブルーあたりでしょうか。

となると医療系の職種以外からすると呼吸器外科はやや馴染みが薄い印象です。
上記の診療科と比較するとドラマティックな感じはやや薄いのでしょう。

そんな人気?の具合が、どこの病院でも人手が足りてないような状況になっている理由の一つになるのかもしれません。

呼吸器外科のすすめ

しかしながら、呼吸器外科は将来の専門を迷っている研修医や医学生の子たちには非常にお勧めできる診療科であります。

前述の通り、手術件数は非常に多く(手術を必要とする患者さんが多く)、逆に人手が不足している分、重宝される医師になれるわけです。手に職ではないですが、しっかりとした技術を身につけ、しっかり患者さんに還元できる診療科です。そして、それは全国どこに行っても変わりありません。

そして、何より呼吸器という人間のなくてはならない臓器を手術する誇りを持てます。
また、緊急手術も比較的少なく、家族や自分の時間とのバランスの取れた科である印象です。

最後に、呼吸器外科医にとって研究領域も非常に興味深いものです。
現在、医学研究の分野の中で、腫瘍学(オンコロジー)は非常に大きな位置を占めています。
2018年、日本の本庶佑先生がノーベル生理学・医学賞を受賞されましたが、その研究も肺癌治療に直結するものでした。

研究の進歩が甚だしい腫瘍学の分野ですが、肺癌をメインで扱う呼吸器外科にとっても、研究領域の知見は非常に興味深いものです。そのような腫瘍学の進歩を身近に触れながら日々の診療にあたることができるのも、を扱う診療科の強みであります。

そしていつかは手術だけでなく、(興味に応じて)手術と研究の道のバランスをとりながら、仕事に励むことができます。

さて、将来の専門を迷われている研修医、医学生の皆様、一度呼吸器外科になることを考えみませんか??